マクドナルド創業者の映画を観たネット起業家の感想(マイケル・キートン主演)


非情なまでのアメリカ流商売人魂で成り上がるレイ・クロックの生い立ちを実写化

本日、渋谷シネパレスで観てきましたよ、映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を。Facebookの広告でバンバン予告編が流れていたので気になってたんですね〜。

起業家として学べることがいろいろありそうなので、、というライトな動機で足を運んだ渋谷シネパレスですが、客の入りは1/4くらいだったかな、という感じで混雑感がなくて快適でした。逆に、この映画大丈夫かな、と配給側の売り上げを心配してしまったり(笑)。

公開している劇場数も少なめで、何でしょう、大ヒット中なのかと思っていたので拍子抜けでした。こういうテーマの映画って、トム・クルーズが激しくアクションするようなものより需要がないということですね。主演も凄いスターではないし。

主人公のレイ・クロックを演じるのはマイケル・キートン。私にとっては『ジャッキー・ブラウン』で観たことがある、くらいの記憶の人なんですけど、当然、当時より風貌は随分と変わってました。

レイ・クロックの自伝は世界中で散々語られているのでストーリーの筋を解説してもそんなにネタバレ感はないと思いますが…一応、この記事を読んだ後で劇場に足を運んでも問題ない程度に、いや、予習として楽しめるように感想、レビューを記してみたいと思います。^^
 

 
一言で表すと、主にこの映画だけで受け取ることが出来るのは、

マイケル・キートンの素晴らしい演技

でしょうね!!レイ・クロックの名言を実際にどれだけ台詞にしているのかはわからないのですが、素晴らしいスピーチ力、交渉術を魅せてくれますね。

 

映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を劇場で観た感想

実はこの映画を観た直後、映画館の斜め向かいにある紀伊国屋書店で『成功はゴミ箱の中に』も購入、ざっと読んでもみたんですよ。

成功はゴミ箱の中に

こちらはレイ・クロックの自伝なので、本人都合でカッコいいレイが描写されています。おまけにユニクロの柳井正さんと孫正義さんの対談も付いていて彼らも絶賛してます。

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一方で、『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』は古き良き日本人の価値観には到底そぐわない強引なスタイルでビジネスを拡大するレイ・クロックを表現しています。『成功はゴミ箱の中に』と同じストーリーなのにえらい違いですね〜。存命のうちにこの企画があったら、本人は承諾してないでしょうね。

なんというか、ロックバンドのキャロルを誰が語るかで、見え方が全然変わるというのに似ています。

矢沢の永ちゃんが語るキャロルは矢沢永吉がカッコよく成り上がっていて、他のメンバーやミッキー・カーチスがどうしようもないチンピラに見えますし、ジョニー大倉が語るキャロルは『守銭奴・矢沢永吉』が的確に描写されています。そして内田裕也が語るキャロルは、ワルに憧れるパンピーのボク達が面倒みてくれる人を探して右往左往しているようなショボさを醸し出します。

でも、どれもキャロルの真実だと思うんですよね。盲人が数人集まって象を触ったら、ある者はシッポを触って綱みたいですと言い、ある者は鼻を触って木の枝っぽいですと言い、ある者は耳を触ってこれは扇だと思いますと言い…という『群盲象を評す』の例えと同じです。

レイ・クロックも、見る角度を変えれば凄いビジネスマンであり、非情なる金の亡者であり、女性にだらしないオッサンなわけです。

今回の『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』は、そのへんのバランスが絶妙だったと思います。フムフム…と思えるビジネスの学びがたくさんあって、これは仕事でマネしてみよう!と思えるパフォーマンスがあって。でも、『こうはなりたくないよな』と思えるダメな部分もあって。

トム・クルーズ的な世界はそこにはないんですけど、マイケル・キートンの卓越した演技がレイ・クロックの様々な要素を表現してくれるので、胸躍り、でも失望して、の繰り返しで不思議な印象を与える映画だと思いました。

印象に残ったシーンは例えば、以下の通りです。

 

レイがディック&マック兄弟を食事に誘うシーン

『外食産業は長いが、ここまでの店は初めてだ。創業者の物語を聞きたい』と、出会ってすぐに夕食の誘いをディック&マックのマクドナルド兄弟にオファーする、というエピソードです。

『あなたの人生がどんなものだったのか興味があるから教えてほしい。一体どうやってここまでやってきたのか?』と初対面の相手にインタビューできる日本人ビジネスマンはどれだけいるでしょうか。このフレキシブルさは痛快ですね。

というか、サラリーマン的な感覚で長く生きていると『自分の未来の成功のために他人に興味を持つ』ということ自体が出来ないんじゃないかな?って思いました。

 

『ボロ儲けしていないのなら、方法を間違ってる』

B・J・ノヴァク演じるハリー・ソナボーンが、レイに売上のマージンだけを考えるのではなく店舗の不動産を押さえろ、とアドバイスする際のセリフです。

儲かるはずなのに儲かってない、とするならばその方法のクオリティよりも方法そのものを見直す勇気が必要だ、という教えですね。B・J・ノヴァクは『イングロリアス・バスターズ』でバスターズの一員だったので『あっ!』って思いました〜。

そして、マクドナルド兄弟が店を軌道に乗せるために試行錯誤する下りも、『方法を見直す勇気』を体現しているな、と。

 

電話ガチャ切り(笑)

…これは携帯電話のない時代の物語なので、遠方への連絡は基本、手紙か電話です。

劇中に出てくるレイ・クロックとマクドナルド兄弟の電話って、殆ど口喧嘩です。そして、どちらかが強引に言うだけ言ってガチャ切りするという。日本人同士のビジネスでそんなことやったらそこで関係はジ・エンドですね(笑)。でも、彼らは喧嘩しながらも関係はしっかり続いていきます。ここがアメリカ的ですね。

『マネーボール』ブラッド・ピット演じるアスレチックスGMのビリー・ビーンも、選手のトレードを他球団と交渉する電話を平気でガチャ切りしてましたけど、これがアメリカ流なんでしょうか。この部分だけを切り取ってカッコイイ!って勘違いしてマネする馬鹿者が日本で出てこないことを願うばかりです。。

 

などなど、色々あるんですけどあんまりネタバレするとアレなんで。

あと、50年代のアメリカを見る、という楽しみもありましたよね。クルマもナウいし(笑)、女性の髪型もレトロで逆に新鮮です。個人的には、往年のテレビシリーズ『特攻野郎Aチーム』に出てくる1980年代のアメリカに憧れています(笑)。

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』は爆破シーンとか高度なVFXも駆使せず、ひたすら役者の演技で魅せてくれる映画ですね。古めの機材でわざと昔っぽく撮ってるところも良かったです。

 

ネット起業家の視点で観たレイ・クロックの生き様と飲食店ビジネス

私は無在庫、無店舗、無限商圏という環境で戦えるWEBマーケティングの世界で生きているので、基本的には一匹狼です。これで月収800万達成までやってきました。

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その立場でこの『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を観ると、やっぱりリアルビジネスは大変だな〜って思いますね。

レイ・クロックもマクドナルドのフランチャイズが続々と盛り上がっているというのに『溺れて』しまい、銀行へのローン返済が滞ってしまうという事態に陥ります。

また、マネジメントする人数が増えるとよからぬことが起きます。契約通りに店を営業しない加盟店出資者に怒りをぶつけたり、創業者のディック&マックとも経営方針でぶつかって、最後には袂を別つことに。

人やモノ、場所に依存することで起きる面倒の数々をクリアすることで莫大な富を得られるというゲームではあるんでしょうけど、私はやりたいとは思いませんね。

また、レイは忙しすぎて妻のエセルとの関係も冷え切ってますからね。旦那、お父さんがある程度家にいるっていうのはお金と同じくらい大事ですね。。儲かっていても、激務で家族をおろそかにしてはいけません。一緒にご飯を食べたり、一緒にちょっと出かけたり、というささやかな幸せこそを求めている妻達も多いってことですね。

そして、この映画を観て、ジョイントビジネスの難しさを改めてですが感じました。私も肌で知っていることですが、ビジネスパートナーを選ぶのは、非常に難しいです。

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『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』を観に来ていた客層はやはりオジサンばかりでしたが、平日の昼間ですから、個人で何かをやっている起業家、個人事業主の割合も多いのかな?スーツ姿の人もいなかったし。
 

 
レイ・クロックの野心が次々と実現していくのにワクワクしながらも、アチャーって思ったり、と、憧れと失望の入り混じる感情でスクリーンを食い入るように見つめるDr.YTでした。