YouTubeで人気動画を生み出すテクニックはいろいろありますが、今回は編集の仕上げ時にやってみると効果の出やすいノウハウを1つ、ご紹介します。
動画を最後まで観て欲しい!!
動画クリエイターとしてYouTube動画を公開した人であれば誰でも、最初から最後まで観て欲しい、楽しんで欲しいと思うのが人情ですよね。
動画を観てくれるのは基本、自分にとって縁もゆかりもない他人です。ですから、じっくり丁寧にというか、全部を観てくれる義理は特にない状態で動画が再生されることがほとんどです。
そして、映画館で映画を観るのと違って、どんな内容だったとしても最初から最後まで観るなんていう前提はなく、つまらないと思ったらすぐ別の「作品」に移ることも出来るのがYouTubeです。
例えばあなたが何かの動画をYouTubeで再生開始したとして、最初の数秒で「ああなんだ、つまらない」と思ったらどうするでしょうか?
恐らく、ブラウザのツールバーに自分で登録した別のサイトに移動するか、動画ページ右側の関連動画に移動するのではないでしょうか。特に、関連動画のコーナーに興味深いタイトル、アイコン画像の動画があって、再生回数もまずまずの数字が表示されていたら、今再生している動画よりも面白いかもしれない、と考えるのが自然ですよね。
だから、YouTube動画は最初の数秒が勝負なんです。
逆に言えば、魅力のあるタイトルとサムネイル画像、そしてまずまずの再生回数を確保している動画を所有していたら、そして他の「つまらない動画」のページで関連動画として表示されていたとしたら、そこからアクセスを引っ張ることも出来るのです。
ところで、数秒しか再生されなくても全部再生されても、視聴回数(ページビュー)は同じ1回ですよね?ではこの2つに何か違いはあるのでしょうか?
YouTubeでは視聴回数よりも再生時間が大事
現在、YouTubeは何回アクセスされたかよりも、どれだけの時間再生されているかを重要視していると言われています。
例を挙げましょう。5分の動画が2つあったとして、1つは平均10秒再生されて10万PVだったとします。そしてもう1つは平均180秒再生されてやはり10万PVだったとしたら…前者の再生時間数は100万秒(約28時間)です。後者はというと1800万秒(500時間)です。
いかがでしょうか。どちらの方が人気動画と言えるでしょうか?再生回数だけで考えると同じ価値のように見えますが、実際に視聴者の興味を惹き付けているかどうかで評価すると、再生時間というのは非常に大事な考え方なんです。
だから、再生回数が多いことも大事ですが、最後まで見続けたくなるような動画を作ることもポイントなんですね。それが出来れば、同じ人が何度も繰り返し観てくれたり、SNSで拡散されていったりして、人が人を連れてきてくれるようにもなります。そして、YouTubeのアルゴリズムにもアピールでき、より多くの人の目に触れる位置に動画が昇格していくことでしょう。
YouTubeの管理画面にあるアナリティクスでは、再生回数の隣に再生時間のグラフも表示されています。再生回数に加えて、動画の人気度を検証する尺度として、こちらもチェックしておくことをおすすめします。
視聴時間を増やす興味付けのテクニックとは?
では、具体的なテクニック解説に入っていきます。
前述の通り、YouTubeは最初の数秒が勝負どころであり、危険地帯でもあります。自分の動画ページの右側に表示されている関連動画達へ移動されないように、興味の湧き出る映像を魅せなければなりません。
そこで出て来るのが、動画本編の前に組み込む「ダイジェスト映像」です。普段だったら撮影した素材をそのままアップロードしてしまうところを、冒頭に見所を数秒ずつ挿入して、視聴者の興味を掴みます。
MacのiMovieだと、こんなイメージです。
撮影した素材の中から面白い(ことを予感させる)部分を数カ所、数秒ずつ選んで一番最初に流します。その後、黒バックで動画タイトルなどを文字で表示させて、その後に本編が始まる、という具合です。
これをすることで、視聴者にはこの動画の何たるかや着地点をある程度最初に伝えることができ、「最後まで観てみようか」という気持ちにさせることが出来ます。
また、作り手としても、3分の動画を作ったとして、一番面白いシーンが2分を過ぎたところにあったとしたら、最初の数秒で視聴者が逃げて行ってしまったら、悔しいですよね?だから、この動画はここが面白いんですよ!ということを最初の数秒でぶつけるというわけです。
そして、最初にダイジェストを流すことによって、再生時間を伸ばすことが可能になります。例え「ああ、俺にとってはつまらない」と判断されたとしても、判断するためにダイジェストを観る時間が発生するので、ページから離れていってしまうまでの時間を稼ぐことが出来ます。
これは、テレビ番組の番宣を、本編にくっつけるというイメージに近いですね。よく、格闘技大会の放送で、メインイベントを事前に煽りまくるじゃないですか。でも、3時間の放送の最初の2時間は(一般的には)知名度の低い選手の試合だったりします。
しかし、事前に見せられた面白そうな試合も気になるから、同じチャンネルを付けておこう、他にも面白いことが起きないかな…という風に視聴者はその場所に留まるのです。でも、「CMの後はいよいよ…!!」とかナレーションしてCM明けもまだ何もなかったりするのはアレだと思いけどね(笑)。
他にもYouTubeの特性として、早送りではなくてクリックで任意の時間に飛べることに対する対策などがありますが、まず、基本は最初の数秒です。ここを意識しながら動画を仕上げてみて下さい。
なお、上記のテクニックで公開した動画は、コメント欄にそのことを触れてもらえることがあるんですよ。「テンポのいい編集だな」みたいな感じで。観る側にとっても親切な編集になっていれば、こんなにいいことはないですね。