個人起業と会社員はどちらが幸せ?自由な働き方で後悔しないための5つの判断基準


会社員として組織の中で活躍する人生と、個人でビジネスを営みながら自由に働く人生。

どちらが幸せなのでしょうか?

私は現在、個人で運営するスモールビジネスを中心に仕事をしていますが、企業から依頼を受けて撮影や映像制作をすることもあります。

そんな仕事を通じて大企業の優秀な社員さんたちと接すると、「会社員って凄いなあ」と感心することが少なくありません。

一方で、彼らのようになりたいかと聞かれると、答えは必ずしもYESではないのです。

今回は、ある企業の撮影現場で感じたことをきっかけに、個人起業と会社員の違い、そして自分にとっての成功や幸せとは何なのかについて考えてみたいと思います。

大企業の優秀な社員たちを見て感じたこと

以前、企業のYouTubeチャンネル用の撮影で、3日間ほど山口県の下関市に出張したことがありました。

仕事の内容は、政治家や財界のVIPを招いた式典の様子を記録するドキュメンタリー撮影です。

こうした現場では、式典の進行、来賓への対応、関係者間の調整、会場運営など、さまざまな業務が同時進行しています。

当然ながら失敗が許されない場面も多く、現場には独特の緊張感があります。

そこで働いていた社員さんたちが、とにかく優秀だったのです。

複雑そうな仕事をテキパキと処理し、関係者と的確にコミュニケーションを取りながら、次々と発生する課題に対応していました。

頭脳明晰で、判断が速く、組織の中で自分の役割をしっかり果たしている。

率直に言って、カッコいいなあと思いました。

私は現在、個人で回すスモールビジネスを主軸にしています。

もちろん個人事業にも難しさはありますが、彼らが担当しているような大規模な組織運営や複雑な調整業務と比べると、仕事の進め方はかなりシンプルです。

大きな組織で10年、20年と経験を積み、専門知識やマネジメント能力を磨いてきた人たちには、個人事業主とはまた違う種類の能力があります。

そういう人たちと仕事をすると、自分にはない能力や経験を目の当たりにすることになります。

そして、自分が選ばなかった人生の魅力にも気づかされるのです。

優秀な会社員に憧れても、その人生を送りたいとは限らない

では、そんな優秀な社員さんたちに憧れて、自分も大企業でバリバリ働くビジネスマンになりたいか?

そう考えてみると、私は不思議なくらい「なりたい」と思わないのです。

ここが重要なポイントです。

仕事ぶりは尊敬しています。

社会的信用もあり、組織の中で重要な役割を担っている姿は魅力的です。

しかし、他人の能力や生き方を尊敬することと、自分も同じ人生を送りたいと思うことは別問題なのです。

私の場合、会社員として働いていた頃と比べて、現在の働き方には大きなメリットがあります。

仕事をする時間や場所を自分で決めやすく、新しいビジネスに挑戦することも、自分の判断でできます。

仕事量を調整できれば、運動や休養の時間も確保しやすくなります。

もちろん、個人事業には収入が不安定になるリスクがありますし、すべての責任を自分で引き受けなければなりません。

それでも、私にとっては自分の裁量で生活を組み立てられることに大きな価値があります。

仮に高い収入や社会的地位を得られたとしても、その代わりに自分の時間や行動の自由を大幅に失うのであれば、必ずしも魅力的な選択とは思えないのです。

もっとも、身体が2つあれば、片方は大企業のビジネスマンとして出世を目指してみても面白いかもしれません。

そういう人生にも興味はあります(笑)。

ただ、残念ながら身体は1つしかありません。

だからこそ、自分が何を優先するのかを決める必要があります。

個人起業と会社員、どちらが幸せなのか?

ここで考えたいのが、「仕事で成功すること」と「人生で幸せになること」は必ずしも同じではないという点です。

例えば、大企業で高い役職に就き、周囲から高く評価されている人がいたとします。

収入も高く、社会的信用もある。

一般的には成功者と呼ばれるでしょう。

しかし、本人が毎日強いストレスを抱え、家族との時間もなく、健康を損なうほど働いているとしたらどうでしょうか。

少なくとも、その人が望んでいた人生を実現できているかどうかは、肩書や年収だけでは判断できません。

少しドライな言い方をすると、本人が幸せを感じられない状態を長年続けているのであれば、望まない生活を維持することに熟達してしまっている可能性もあります。

ただし、これは会社員という働き方そのものを否定する話ではありません。

忙しくても仕事に大きなやりがいを感じ、組織の中で成果を上げることに喜びを見いだしている人もいます。

反対に、脱サラして起業したものの、収入の不安定さや孤独、責任の重さに苦しんでいる人もいるでしょう。

つまり、会社員だから不幸、起業家だから幸せという単純な話ではないのです。

大切なのは、自分が望む人生と、現在の働き方が一致しているかどうか。

私はそこに、働き方を選ぶうえでの本質があると考えています。

自分に合った働き方を選ぶための5つの判断基準

では、自分にとって望ましい働き方を考えるには、何を基準にすればよいのでしょうか。

私は次の5つの視点が役立つと思っています。

1. 収入:いくら稼げれば満足できるのか

収入は多いに越したことはありません。

しかし、収入を増やすために仕事量を際限なく増やしてしまうと、生活の満足度が下がることもあります。

例えば、月収が30万円から50万円に増えたとしても、休日がほとんどなくなり、家族との時間も失われてしまったらどうでしょうか。

もちろん、50万円を稼ぐために頑張りたい時期もあるでしょう。

重要なのは、金額だけを目標にするのではなく、その収入によってどのような生活を実現したいのかを考えることです。

また、個人起業の場合は売上と手元に残るお金が違います。

売上から経費や税金、社会保険料などを支払う必要があり、会社員の給与と単純比較することはできません。

生活費や事業の固定費、将来への備えを考えたうえで、自分に必要な収入水準を把握することが大切です。

2. 時間:自分の意思で使える時間があるか

私が個人起業で特に重視しているのが、時間の自由です。

平日の昼間に運動したり、必要に応じて休息を取ったり、思いついた企画をすぐに試したりできる。

こうした自由は、私にとって大きな価値があります。

ただし、起業すれば自動的に自由時間が増えるわけではありません。

むしろ、仕事を断れず、休日も夜間も働き続けている個人事業主は少なくないでしょう。

逆に、会社員でも有給休暇やフレックスタイム制度、リモートワークなどを活用し、自由度の高い生活を送っている人もいます。

大切なのは、会社員か起業家かという肩書ではなく、実際にどれだけ自分の意思で時間を使えるかということです。

3. 健康:無理なく続けられる働き方か

どれだけ収入が増えても、健康を損なってしまえば、そのお金や時間を十分に楽しめなくなるかもしれません。

長時間労働、睡眠不足、運動不足、精神的なストレス。

こうした問題は会社員にも個人事業主にも起こり得ます。

個人で仕事をしていると、つい自分の健康管理を後回しにしてしまうことがあります。

しかし、特に一人で事業を運営している場合、自分が働けなくなることは事業の継続にも直結します。

だからこそ、仕事の成果だけでなく、無理なく働き続けられる生活習慣を維持できているかも重要な判断基準になります。

4. 社会的信用:安定や所属をどこまで重視するか

会社員には、組織に所属していることによるメリットがあります。

安定した給与、福利厚生、社内の教育制度、同僚との協力関係などです。

また、継続的な雇用と収入の実績は、住宅ローンや賃貸契約などの審査でも評価される場合があります。

一方、個人事業主は収入の変動が大きくなりやすく、事業実績や所得を自分で証明する必要があります。

その意味で、会社員の安定性や社会的信用は決して軽視できません。

ただし、個人事業主であっても、継続的な取引実績や安定した所得を積み重ねることで信用を築くことは可能です。

自分がどの程度の安定性を必要としているのか。

そして、自由と引き換えにどこまで不確実性を受け入れられるのか。

この点も冷静に考える必要があります。

5. 自己決定権:自分で決めることに喜びを感じるか

個人起業の魅力の一つは、自分で意思決定できることです。

どんな仕事を受けるのか。

誰と仕事をするのか。

どんな商品やサービスを作るのか。

どの方向に事業を成長させるのか。

こうしたことを自分の判断で決められます。

一方で、判断を誤った場合の責任も自分に返ってきます。

組織に所属していれば、上司や同僚と相談しながら仕事を進めることができ、役割や責任を分担することもできます。

自分で決めることが好きな人には個人起業が向いているかもしれません。

反対に、チームで大きな目標に挑戦することに喜びを感じる人には、会社組織の方が合っている場合もあります。

どちらが優れているかではなく、自分の性格や価値観に合っているかが重要なのです。

私が目指すのは「お金と時間の自由」の両立

ここまで5つの判断基準を挙げましたが、私自身が特に重視しているのは、収入と自由度のバランスです。

会社員時代よりも経済的な余裕を持ちながら、行動の自由や挑戦の自由を確保する。

これが、私が個人起業を続けるうえで目指している状態です。

そのため、収入がさらに増えるとしても、自由度が大きく減ってしまう働き方は望んでいません。

一方で、自由時間がたっぷりあっても、お金がなければ行動できる範囲は限られてしまいます。

旅行に行きたい。

新しいことを学びたい。

興味のある事業に挑戦したい。

そう思っても、必要なお金がなければ実現できません。

つまり、時間だけあっても不十分ですし、お金だけあっても不十分なのです。

私が欲しいのは、両方のバランスが取れた生活です。

ただし、これは一度達成したら終わりというものでもありません。

年齢や家族構成、健康状態、事業環境などによって、理想的なバランスは変わっていくでしょう。

だからこそ、その時々の状況に応じて、自分が目指す生活を見直していく必要があると感じています。

脱サラ起業を無条件に肯定すると本質を見失う

個人起業について発信していると、どうしても「会社員を辞めて自由になろう」という話になりがちです。

しかし、私は会社員という働き方を否定する必要はないと思っています。

世の中にはさまざまな役割の人がいます。

企業で商品を開発する人、製造現場を支える人、営業活動をする人、経理や法務を担当する人、組織全体を管理する人。

こうした人たちがそれぞれの役割を果たすことで、社会は成り立っています。

私自身、企業のクライアントワークを通じて、その恩恵を受けています。

大きな組織だからこそ実現できる仕事もあれば、個人だからこそ柔軟に取り組める仕事もあります。

それぞれに価値があるのです。

また、会社員を辞めることが必ずしも問題の解決になるとは限りません。

例えば、職場の人間関係に悩んでいるのであれば、転職によって改善する可能性もあります。

働く時間が問題なら、部署異動や勤務形態の変更という選択肢もあるでしょう。

起業したいという気持ちがあるなら、会社員を続けながら副業で小さく試す方法もあります。

いきなり退職して収入源を失うより、事業の需要や収益性を確認してから独立する方が、リスクを抑えられる場合があります。

「会社員か起業家か」という二者択一にこだわる必要はありません。

自分が望む生活を実現するために、どのような働き方を組み合わせればよいのか。

そのように考えた方が、選択肢は広がると思います。

他人の人生を見ることは、自分の価値観を知る機会になる

今回の下関での撮影のように、普段とは違う環境で働く人たちと接することは、私にとって貴重な経験です。

個人で仕事をしていると、どうしても自分の考え方や価値観に偏りがちになります。

特に一人で事業を運営していると、他人の仕事の進め方を間近で見る機会は意外と少ないものです。

そんな中で、組織の中で活躍する人たちを見ると、さまざまな発見があります。

自分にはない能力を持っている人への尊敬。

組織だからこそ実現できる仕事の規模。

安定した立場でキャリアを積み重ねることの価値。

そして、それらを魅力的だと感じながらも、自分は別の道を選びたいという気持ち。

こうした感情が同時に生まれるのです。

私は、これが非常に大切なことだと思っています。

自分と異なる人生を歩んでいる人を見ることで、逆に自分が何を大切にしているのかが明確になるからです。

他人と比較することは、必ずしも悪いことではありません。

ただし、年収や肩書、社会的地位を競うために比較するのではなく、自分の価値観を確認するために比較する。

そのような使い方であれば、他人との出会いは自分の人生を考える良い材料になります。

起業して後悔しないために定期的に確認したい3つの質問

個人起業を続けていると、目の前の仕事や売上目標に追われ、最初に思い描いていた生活を忘れてしまうことがあります。

そんなときは、次の3つの質問を自分に投げかけてみるとよいと思います。

「何のためにこの仕事を始めたのか?」

独立した理由は人によって異なります。

自由な時間が欲しかったのか。

収入を増やしたかったのか。

好きな仕事に挑戦したかったのか。

会社の人間関係から離れたかったのか。

まずは、自分が起業を決意した原点を思い出すことです。

「今の働き方は、その目的に近づいているか?」

例えば、時間の自由を求めて独立したのに、会社員時代よりも長時間働き続けているとしたら、一度働き方を見直す必要があるかもしれません。

収入を増やすことが目的だったのに、売上は増えても経費が膨らみ、手元にお金が残らないのであれば、事業の仕組みを改善する必要があります。

目標を持つだけでなく、現在の行動がその目標につながっているかを確認することが重要です。

「今の自分にとって、最も優先したいことは何か?」

人生の優先順位は変化します。

若い頃は仕事で実績を作ることが最優先だった人も、家族ができれば生活の安定を重視するかもしれません。

年齢を重ねれば、健康や自由時間の価値が以前よりも大きくなることもあるでしょう。

昔決めた目標に、いつまでも縛られる必要はありません。

その時点での自分にとって、何が大切なのかを考え直せばよいのです。

この3つの質問を定期的に確認することで、目の前の売上や仕事量だけに振り回されず、長期的な視点で働き方を考えられるようになると思います。

まとめ:自分にとっての成功を決めるのは自分自身

下関の撮影現場で出会った優秀な社員さんたちは、私にとって尊敬できるビジネスマンでした。

組織の中で能力を発揮し、責任ある仕事を遂行する姿には、個人で仕事をしている私にはない魅力がありました。

しかし、その人たちと同じ人生を送りたいかというと、必ずしもそうではありません。

それは彼らの生き方が間違っているからではなく、私が人生で優先したいことが違うからです。

世の中にはさまざまな成功の形があります。

高い役職に就くことも、収入を増やすことも、大きな組織で活躍することも、自由な時間を持つことも、それぞれ価値のある目標です。

ただし、すべてを同時に手に入れられるとは限りません。

だからこそ、自分が本当に叶えたい願いに優先順位をつける必要があります。

私の場合は、経済的な余裕と行動の自由、そして新しいことに挑戦できる環境を大切にしたいと考えています。

もちろん、その理想を常に実現できているわけではありません。

事業を続けていれば、思い通りにいかないこともありますし、状況に応じて働き方を変える必要も出てくるでしょう。

それでも、自分が何を目指しているのかを見失わなければ、進む方向を修正することはできます。

「何のために、これを始めたのか?」

この原点に立ち返る機会を、ときどき意識して作ること。

それが、周囲の評価や一時的な成果に振り回されず、個人起業を続けていくための大切な習慣なのではないでしょうか。

幸せの定義は人それぞれですし、同じ人でも時期によって変わります。

自分にとっての幸せを探し、考え、必要に応じてアップデートしていく。

そして、その答えを踏まえて今日やるべきことを決め、実際に行動する。

結局のところ、そんな日々の積み重ねが、自分らしい働き方と人生を作って